日本の最低賃金制度には2つの大きな欠陥があります。
ひとつは、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度のはずが、今の最低賃金では低すぎて生活できないということです。
ワーキングプアを生み出す最低賃金
2022年の最高額の1072円で週40時間働いたとしても月額17万円にしかならず、経営者はなるべく低い賃金で労働者を雇おうとするので、最低賃金すれすれの額で働かされている労働者が急増しており、4人1人はワーキングプア(年収200万円以下)という状態で、連動して一般労働者の平均賃金も激減しています。そのため生活保護基準より低い賃金しかもらえないというおかしな状況も生まれています。
もうひとつは地域ごとに最低賃金が違うことで地域間格差を広げているということです。
日本は世界でもめずらしい地域別最低賃金制度を採用しています。
2022年10月の最低賃金改定により最高額は東京の1072円で最低額は九州・青森などの853円となりました。その差は219円です。2006年当時は109円だった差が15年で2倍になりました。一方で全国どこでも最低生計費は変わりません。そのため賃金が高い都市部にに人口が集中して、地方の人不足が深刻な問題となっています。
一方で全国の労働組合が調査をおこなった最低生計費調査(1か月生活するのに最低限必要な費用額の調査)では、全国どこでも時給約1500円は必要という結果がでました。
最低賃金の決定プロセス
最低賃金は毎夏、最低賃金審議会で審議されて決定します。
現行の最低賃金制度ではその決定原則として、
①労働者の生計費 ②類似する労働者の賃金 ③企業の賃金支払い能力を考慮する
となっていますが、実際には中小零企業の支払い能力が重視され、労働者の生計費はまったく考慮されていないものになってしまっています。
最低賃金引き上げにはこんなメリットがある
1.地域で消費が拡大⤴
最賃アップで生活関連の消費を増やせば、地域にお金が回ります。
2.男女の賃金格差が縮小⤴
低賃金雇用の中心は非正規で働く女性。最賃アップは男女の賃金格差を縮めます。
3.地方で働く若者が増加⤴
低賃金では自立できないと、地方から都会へ若者が流出。
最賃アップで格差是正すれば、故郷で働けます。
私たちの主張!
私たちは最低賃金法を改正し、全国一律最低制度に変更し、生計費原則に基づき1500円に引き上げることを要求しています。また同時に中小企業支援として①社会保険料減免②消費税減額③原材料費と人件費が価格に適正に反映される仕組みを整備することを要求しています。
最低賃金の大幅引き上げを実現するためには、国会で審議して最低賃金法を改定することが必要です。
私たちの労働組合では、「あなたもアクション・あなたの声を国会議員にとどけよう!」という取り組みを行っています。ぜひご協力をお願いします。